経路選択的機能操作のためのウィルスベクター2重感染法の効率と安全性を比較した論文がGeneTherapy誌にアクセプトされました
私どもの研究室では Kinoshita et al. (2012) 以来、逆行性ベクターと順行性ベクターを組み合わせて中枢神経系の機能操作を行う研究を進めてきましたが、ベクターの組み合わせは常に大きな課題でした。今回、越水義登研究員らは、ラットの腹側被蓋野 (VTA) から運動野 (CMA) への投射経路を対象として、逆行性ベクターとしての AAV-CTb, Lenti-FuGE, rAAV2retro、そして順行性ベクターとして AAVDJ, AAV1, AAV5 を組み合わせ、遺伝子導入効率を比較したところ、比較的短い survival time では rAAV2retro と AAVDJ の組み合わせが最も強く遺伝子導入ができますが、例えば5カ月以上の survival time では順行性ベクターとして AAV5 を用いたほうが良いということが明らかになりました。これらの知見は、より効率良い遺伝子導入を長期にわたって行う場合に重要な情報を提供すると言えます。
Koshimizu Y, Isa K, Kobayashi K, Isa T (2020) Double viral vector technology for selective manipulation of neural pathways with higher level of efficiency and safety. Gene Therapy, in press.