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イソフルラン麻酔によって上丘の方位選択性・方向選択性マップが変化することを示した論文が J Neuroscience 誌にアクセプトされました

2021.11.24

上丘 (Superior colliculus = SC) は外界の目立つ物体を素早く検出し,眼球運動をはじめとする定位行動 (Orienting behavior) や,危険からの逃避行動に変換するために重要な機能を持っています.多くの脳領域では,効率的な情報を処理のために,類似した性質の神経細胞が近くに位置し,脳の中でマップ上の局在パタンが存在します.最近のマウスを使った研究で,視覚情報が入力される上丘の浅層に,視覚刺激の方位(傾き)や動きの方向に選択性を持った細胞の局在マップが存在すると報告されました (Feinberg and Meister, 2014; Lin et al., 2020).一方で,上丘の浅層には顕著な機能マップは見つからないという相反する結果も報告されており,現在も議論が続いています (Inayat et al., 2016, Chen et al., 2021).

今回,笠井昌俊助教らは,覚醒下と(軽度の)イソフルラン麻酔下で上丘の視覚応答を比較することで,脳の状態が変化した場合に上丘の機能マップが変化することを明らかにしました.2光子顕微鏡を用いたカルシウムイメージングにより,同一の神経細胞の性質の変化を調べたところ,イソフルラン麻酔下では,個々の神経細胞の性質がかなり変化し,結果として,近くに位置する細胞の応答特性の類似性が高くなる,つまり,機能マップがよりはっきりと現れることを見出しました.本研究により,これまで安定的に維持されると考えられていた脳内の機能マップが,脳の状態によって変化する可能性があるという重要な知見を与える結果がえられました.

Kasai M, Isa T (2021) “Effects of light isoflurane anesthesia on organization of direction and orientation selectivity in the superficial layer of the mouse superior colliculus” Journal of Neuroscience, JN-RM-1196-21

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